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最終更新日:2021年09月04日

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切りくずの形態と生成機構に関する考察

切りくずの形態には,流れ形,せん断形,き裂形,むしれ形の4種類があることは有名です.
しかしながら,その特徴や,加工面への影響の説明が多く,発生機構の話は少ないです.
発生機構については調べてもよくわからないのですが,自分なりの考察と併せてまとめたいと思います.

下図に,よくある二次元切削モデルの概略図を示します.

orthogonal_chiptype

切削加工は破壊の制御といわれるほどなので,どのように工作物を破壊するかが重要です.
そのためにはまず,加工点で生じている破壊が何なのかを把握する必要があります.
破壊が生じる位置は基本的には2か所あります.


以上の破壊形態を使って,切りくず形態の特徴と生成機構を併せて説明します.
単純に考えると,切りくず形態の制御においては,すくい角と被削材の特性による部分が大きいのではないかと考えます.
すくい角が正に大きいと,くさび加工に近づくので,き裂進展方向は送り方向に向きます.
また,せん断角が大きくなるので,せん断面での塑性変形に必要な切削抵抗を小さくすることができます.
これにより,き裂進展の要因となるモードⅠとモードⅡの影響を小さくすることができ,き裂が先行しにくくなるのではないかと考えます.
そうなると,切りくず形態は流れ形に近づくのではないでしょうか.
ただし,被削材のぜい性が強すぎると,どうやってもき裂進展が先行してしまい,流れ形にならないと考えられます.
そういった場合には,切削油剤を使って,すくい面での潤滑を強くして,モードⅠとモードⅡの影響を小さくしてみたり,といった他の手段を考える必要があります.



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