切削油剤と供給方法
切削油剤には,切削油剤そのものの種類以外にも多くの項目があります.
結局のところ,何をどのように使うのが自分にとって良いのか,という部分が非常にわかりにくいです.
切削油剤を使う場合と使わない場合の差はわかるのですが,切削油剤を変えるとどのくらい変わるのかなどといった細かい部分は検証が難しいです.
とりあえず,知っている範囲の項目を説明しつつ,分類してみることにしました.
切削油剤の役割
- 冷却:加工点,切削工具,工作物の温度を下げる
- 潤滑:摩擦を低減する
- 洗浄:切りくずを加工点近傍や工作物上,テーブル上から流して除去する
- 切りくず分断:高圧クーラントによる衝突力で切りくずを分断する
吐出位置
- 外部給油:加工点近傍にホースなどを使って切削油剤を供給する.吐出方向などによって性能が左右される.工作物上やテーブル上からの切りくず洗浄にも使われる.
- 内部給油:切削工具内部に設けられた流路を使って加工点近傍から切削油剤を供給する.加工点に直接供給できるので冷却や潤滑で有利.穴あけ時には切りくずを穴から排出しやすい.
- (手差し):刷毛や筆を使い,切削開始前にあらかじめ切削油剤を塗っておく.供給量が少ないので,冷却用途としては不適.主目的は潤滑.
切削油剤の種類
- 水溶性:エマルション,ソリュブル,ソリューション.主目的は冷却
- 不水溶性:鉱油,合成油,脂肪酸.主目的は潤滑
- (気体):空気,炭酸ガス,液体窒素
特殊な供給方法
- 高圧クーラント:7MPa以上の圧力で供給する.主目的は冷却と切りくず分断.
- MQL (Minimum Quantity Lubricant):微粒子化した切削油剤とエアを混ぜて吹き付ける.切削油剤の回収装置などが不要で,切削油剤の消費量を抑えられる.主目的は潤滑.
- ファインバブル:切削油剤中に微小な気泡を混ぜて吹き付ける.MQLの逆のような概念か?切削油剤の濡れ性などが変わるらしい.
- 冷風:温度を下げた気体を吹き付ける.
表 切削油剤の各項目の組み合わせ表
吐出位置 | 切削油剤 | 圧力 | 特殊な供給方法 |
---|---|---|---|
手差し | 不水溶性 | ||
外部給油 内部給油 | 水溶性 不水溶性 | 高圧 | |
低圧 | MQL ファインバブル |
||
気体 | 冷風 |
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