工作機械による加工誤差と測定誤差
工作機械に起因して発生する加工誤差や測定誤差について説明します.
・加工誤差
非常に当たり前の話ですが,工作機械は厳密には「指令どおりに」は動いていません.
なぜかというと以下のような運動誤差要因があるからです.
以下に示している原因はごく一部なので他にもいろいろあります.
こういった運動誤差があると,それが加工誤差を生じさせます.
- 工作機械の弾性変形:主軸の位置が変わったりすることで工作機械全体が弾性変形することで生じる誤差.
- 直角度誤差:X軸やY軸,Z軸が互いに厳密な90度になっていないためにおこる誤差.
- バックラッシ:ギアの噛み合いによる誤差
- ピッチエラー:ボールねじのピッチに起因する誤差
- サーボの応答遅れ:ざっくり言うと制御系起因の誤差です.
また,発生原因がわからないと補正のしようもありません.
とりあえず,大事なことは,工作機械は理想通りの軌跡で動いているわけじゃない,というのを頭に入れておくことだと思います.
・測定誤差
工作機械上に測定機を設置して,測定を実施する際には,以下の2点に気を付ける必要があります.
-測定系の固有振動数の影響
なんらかの治具を介して,測定機を工作機械上に設置して,測定系を構成する際には,その測定系の固有振動数に気を付ける必要があります.
測定機自体の仕様で決まっている固有振動数よりも,その測定系の固有振動数は低くなっているはずです.
その測定系の固有振動数が,測定対象のもつ振動成分に対して,十分高ければ問題はありません.
もし低い場合は,測定結果が実際の現象をとらえられていない可能性がありますので,治具の見直しなどを行う必要があります.
-漏電の影響
理由はよくわからないのですが,工作機械は漏電していることがあります.
その場合,漏電している電流が測定系に入り込んでノイズになり,測定誤差を生じさせることがあります.
電源に起因している場合,関西なら60Hz,関東なら50Hzで発生していると思います.
この測定誤差を低減させるには,アースをとる必要があります.
アースを接続する部分がある測定機であれば,工作機械とその部分をアース線でつないでやればいいと思います.
ただし,この場合は,測定機のコンセントが3ピンであったりして,測定機自身のアースが取れていることが必要です.
他には,壁のコンセントが3ピンであるならば,逆接地アダプタ(2ピン→3ピンアダプタ)を使うことで,アース用の接続端子を作ることができます.
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