切削加工の専門書と論文のリストとオススメ
最終更新日:2021年06月19日

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情報の重要性と収集

切削加工は,切削工具と加工条件を雑に選んでも削ること自体はできることが多いです.
工具寿命が短いとか加工精度が低いとか,そういう問題が出ることもありますが,ある程度許容されるがために,誰でも切削加工自体が実施できるという現状があります.
工具寿命は実際に削ってみて,加工精度は加工結果を測定するか見た目で判断し,切削抵抗は音で判断する.
これらの手段によって,切削理論を知らなくても,細かくデータをとらなくても,切削工具と加工条件をなんとなく変えて最適化を行うことができます.
こういう手法で最適化を行う場合,往々にして変数の管理と理解を怠っています.
そうすると,何が原因で改善できたのかを見誤らせます.

作業者本人は要因Aが効いたと思っていても,実際は要因Bが効いていた.
でも,要因Aが効いたと思っているので,他の人に「要因Aが効いた」と言ったりします.
すると,その説が一人歩きしたりします.
(話が逸れるのですが,16世紀から17世紀に西欧の一部で行われていたらしい「武器軟膏」の話が,この問題に似ていて興味深いです.)

切削加工は変数が多すぎる上に,複数条件が同時に変わったりしてしまうので,上記事態がよく起こっているように感じています.
そのため,情報を一次情報,二次情報,三次情報に分けた場合,二次情報と三次情報は疑ってかかったほうがいいです.
一次情報であっても,何が変数なのかを可能な限り把握するように務めないと,自分が誤情報を掴んでしまいます.

そのため,様々な情報を収集するのは非常に良いことなのですが,その情報を信じすぎてはいけません.
そもそも同じ加工工程などないので,情報を参考にしても,同じ結果が再現する保証はどこにもありません.

手に入れた全ての情報において,理論的な説明ができるかどうかは常に検討するべきです.
そして,機会があれば,その理論が正しいのかどうかの検証を行うべきです.

それらに先だって必要なのは,理論的な説明を考えるための知識の収集です.
今はインターネットで色々と調べることができますが,インターネットで調べられるのはある程度知っていることだけです.
自分が全く知らない単語は,検索にかけられないので,インターネットで上手く探せないのと同じ理屈です.

最初は,図書館や本屋に行って,切削加工の本を買うのがいいと思います.
本には一般の読者を想定してかかれているものがあるので,最初に取り掛かるのには向いています.
ただし,一般的な記載内容が多いので,突っ込んだことはほとんどわかりません.
突っ込んだことが書かれているような本は読者層が薄いので,だいたい絶版になっています.

一般的な事項を理解できたら,次は以下の段階に進むことになると思います.

とにかく自分自身の知識を増やしていって,それらを過信しないようにすれば,問題に直面した時に,その原因にたどり着くことができると思います.



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