切削加工の専門書と論文のリストとオススメ
最終更新日:2020年10月1日

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治具・取付具関連の
書籍のオススメ

身も蓋もないことから言うと,本を読んでも治具・取付具の設計はいまいちわかりません.
それは,治具・取付具で固定したい対象が,人によって様々に違うので,あなたの探している条件にちょうど当てはまるものが解説されている可能性が限りなく低いからです.
本に書いてあるのは,ごく一般的なことだけなので,それを読んだだけで,自分の治具・取付具を完成までこぎつけるのは最初はなかなか難しいです.

まず,一般的に重要なのは以下の2点です.
1.いかに固定対象の自由度をなくすか
物体には自由度が6個あるので,その自由度をなくすことで固定が完了します.
自由度をなくす一般論は,大体の本に書かれていますが,「はじめての治具設計」や,「現場で役立つ モノづくりのための治具設計」あたりでの記載がわかりやすいと思います.
自由度を拘束しすぎると過拘束になって,固定対象に変な拘束力がかかってしまい,変形を生じさせてしまう可能性が高くなります.
ただし,理論上のやりかたで自由度をなくすと,必要最小限の接触面積で固定することになるはずです.
そうなると,切削加工において生じる切削力によって,治具・取付具との接触点に過剰な応力が発生し,塑性変形に至る可能性が高くなると考えます.
よって,自由度はなくして,切削力には耐えるけど,過剰な拘束力は生じない,というくらいを狙うことが重要です.

2.治具・取付具設計のノウハウ
少なくとも共通のノウハウは存在します.
例えば,分解と組み立てや,固定対象を交換する手順を考え,その手順がなるべく簡単になるように考えること.
他には,組み立て時にネジを回すレンチが回せる空間が周囲に確保されているか.
工作機械のテーブル上に設置するときに,工作機械のXY軸との位置合わせができる基準面が確保されているか.
といった内容です.
これも,「はじめての治具設計」や,「現場で役立つ モノづくりのための治具設計」あたりでの記載がわかりやすいと思います.

測定器を固定するときでも,工作物を固定するときでも下記事項を事前に検討しておくといいと思います.
・剛性:切削力が加わっても加工誤差が一定以上に悪くならないかどうか
・固有振動数:低すぎると測定や加工に使えなくなる.
・熱膨張:切削熱によって変形すると加工精度や測定精度などが悪くなる.

切削加工関連の治具・取付具に関して詳しく書いているのは,「絵とき 治具設計 基礎のきそ」,「目で見てわかる 治具・取付具の使い方」,「絵とき 治具・取付具 基礎のきそ」の3冊です.
既存の治具・取付具の使い方に関しての記載にはなりますが,それらの位置合わせの方法や使い方を,新たに製作するものに転用することは十分可能だと考えます.
特に,「目で見てわかる 治具・取付具の使い方」は,実際の使い方を写真で説明していてわかりやすいので,役に立つと思います.



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