工作機械の軸構成の影響
工作機械には3軸とか5軸加工機がありますが,同じ軸数でも軸構成が違うと性能や特性に影響が出る場合があります.
軸構成の全数がそもそもどのくらいかというと,3軸のMC(マシニングセンタ)だと立形で12種類らしいので,横形と門形を加えると36種類あると考えます.
同様に,5軸のMCでは,立形と横形,門形で216種の軸構成があるらしいです.
当然ながら,各軸が主軸側かテーブル側かに分かれて割り当てられています.
まず,軸構成による影響で言われているのは軸が多いほど側ほど剛性が下がるということです.
そのため,3軸のMCで,全ての軸が主軸側に割り当てられている場合,主軸側の剛性はかなり低くなっていると言えます.
同じような軸構成でも,軸の構造によって剛性に影響が出る場合があります.
例えば,Y軸を動かしたときに軸が構造体からせりだしてくるような構造や,Z軸を下げたときに突き出し長さが長くなってくるような場合,その位置によって剛性が変わる場合があります.
また,自重による弾性変形で,刃先位置が指令位置に対して位置決め誤差をもつ場合もあります.
このとき,工作機械全体の構造が対称性を持っていると,そういった誤差は規則的に出やすいので制御しやすいですし,同様に熱変形の制御もしやすくなるという特性があります.
あとは,測定を実施するときに都合が良い軸構成というのがあります.
例えば,工作物にセンサを付けて測定を実施するような場合には,テーブル側に軸がないほうが,ケーブルの取り回しなどにあまり気を使わなくていいという利点があります.
他には,工作機械外部から高速度カメラやレーザ変位センサを使って工具を観察する場合,工具側にZ軸しかなければ,加工点の移動が少ないので測定がしやすいです.(理想的にはテーブル側に全軸があるとよい.)
参考文献:
- JIS B 6336:マシニングセンター検査条件
- 大坪正人:すぐに使える精密切削加工 現場の即戦力
- 竹内芳美:多軸・複合切削加工
戻る