保全活動と工作機械
工作機械も機械の一種なので,当然ながら保全の対象です.
保全は,まず事後保全と予防保全に分けられます.
事後保全(BM:Breakdown Maintenance)は,故障が発生してから保全を実施する方式です.
機械は故障してしまっているので,生産も停止しています.
予防保全(PM:Preventive Maintenance)は,故障が発生する前に行う保全です.
故障が発生する前に保全作業ができれば,生産の隙間時間に保全作業を行うこともできるため,生産を止める必要がありません.
こちらには以下の2つの方式があります.
- 時間基準保全(TBM:Time Based Maintenance)
稼働時間を参照して部品の交換時期を決定する方式です.
工作機械でいえば,運転時間の累積が記録されていて,それが一定時間に達するとメッセージが表示されるのと同じです.
- 状態基準保全(CBM:Condition Based Maintenance)
部品の状態を監視し,その状態から故障の予兆などを判断することで,部品の交換などを実施する方式.
作業者が日常的に使用している工作機械の不調を何となく感じて,異常個所を発見して保全を実施するというのも広義では状態基準保全だと思います.
ただし,これは定量的な方法ではなく,誰もが同じように故障を発見できるわけではありません.
近年,センサの小型化などによりIoT技術が進んでおり,軸受や主軸,切削油剤の状態監視が定量的に実施できるようになっています.
これにより,24時間かつ,人手が不要な方法で,機械の状態を監視できるようになってきています.
他に,リスクベースメンテナンス(RBM:Risk Based Maintenance)というのがあります.
「故障したときの影響の大きさ」と「故障の発生確率」の2軸で,故障の評価を行い,その評価結果をもとに保全計画を立てるというものです.
故障したときの影響の大きさは,比較的検討しやすいかと思います.
部品交換にかかる費用の算定や,生産がどのくらいの時間止まって,それがどのくらいの損失を生むか,といった内容です.
一方,故障の発生確率となると,把握がなかなか難しいです.
ここで,状態基準保全との組み合わせができれば,センサで定量化した数値をもとに発生確率を算出できる可能性があります.
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