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最終更新日:2023年04月09日
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加工プロセスと切削加工
材料を加工して所望の形状に近づけるための手段には様々な方法があります.
このサイトでは切削加工に注目していますが,他にも鋳造,溶接,金属積層,塑性加工などがあります.
これらの加工プロセスは,様々な指標で分類することができます.
所望の形状を得ようとするとき,1種類の加工プロセスを採用するのではなく,複数の加工プロセスを組み合わせることもあります.
そのとき,どの加工プロセスを選択するか,というときに,こういった分類から考えることは,役に立つ場合があります.
- 加工現象:塑性変形,破壊,溶融・蒸発,電気・化学
- 質量変化:除去加工,変形加工,付加加工
- 利用するエネルギの種類:機械的エネルギ,熱的エネルギ,電気・化学的エネルギ
- 単位体積当たりの加工に使うエネルギー量
- 加工精度:荒加工,仕上げ加工
- 加工可能な形状
- 量産性
- 消耗品
製品を生産するうえで重要なのは,加工精度,加工可能な形状,量産性のあたりですが,それ以外にも様々な分類項目があることがわかります.
下表に,質量変化と,エネルギの種類による各種加工法の分類表を示す.
種類 |
付加加工 |
成型加工 |
除去加工 |
質量の増減 |
増加 |
なし |
減少 |
機械的エネルギ |
接合
- ねじ締結
- 圧入
- 焼き嵌め
- かしめ
- 電磁圧接
- 摩擦攪拌接合
ろう接
|
塑性加工
- 鍛造
- 圧延
- 押し出し
- 引き抜き
- 転造
- プレス加工(せん断、曲げ、絞り)
- 放電成形
- 爆発成形
|
機械加工
ブラスト加工
ウォータジェット
アブレシブジェット
超音波加工 |
熱的エネルギ |
溶接 溶射 積層造形 摩擦圧接 |
鋳造 粉末冶金 焼結 |
放電加工 レーザ加工 |
電気・化学的エネルギ |
めっき コーティング |
電磁成形 |
化学研磨 電解加工 |
以下に,加工プロセス全体における切削加工の特徴について述べます.
重量変化の分類の中では,切削加工が含まれている除去加工は加工精度が比較的高いと思います.
とくに切削加工は,加工条件によって加工精度を荒加工から仕上げ加工までを変えつつ,加工能率(量産性)もある程度制御できます.
また,切削加工は単位体積当たりの加工に使うエネルギー量が除去加工の中では小さいという特徴があります.
加工可能な形状にもそれほど制限がなく,高アスペクト比の形状も製作できます.
そういった生産上の特徴がありつつ,硬いものをぶつけて破壊して除去する,という簡単な基本原理であるために昔から使うことができたという点が,切削加工の普及に影響したのではないでしょうか.
参考文献:
杉田忠彰,上田完次,稲村豊四郎,基礎切削加工学,共立出版,p.8
谷口紀男,加工エネルギより見た最近の加工法,精密機械,33巻,391号,pp.499-508.
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