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最終更新日:2026年10月04日

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ポリゴン加工での多角形形状(計算機能あり)

複合加工機において,切削工具(カッタ)と工作物の両方を回転させ,その回転数比を特定の関係に設定して加工を行うポリゴン加工という加工法があります.
両者の回転方向は,加工点における両者の刃先速度の和が,そのまま切削速度になる方向です.
通常,切削工具と工作物の回転数比は2:1であることが多いようです.
本来はポリゴン加工では刃数と回転数比を調整することで様々な形状が加工できるはずです
しかしながら,どの加工条件でどのような多角形になるのかの計算は複雑です.
かつ,見た目は多角形でも多角形の各1辺は厳密には平面にはならず曲面になります.
このあたりの影響を考慮したうえでの使い分けが難しいので,各面が比較的平面になりやすい条件である回転数比2:1に固定して用いられているのではないでしょうか.
ポリゴン加工の機能が搭載されている工作機械もありますが,上記計算を自由に行い,加工誤差がどの程度生じうるのかまで計算して表示する機能はないのではないでしょうか.
そこで,ここでは,加工面数の決定条件と,多角形形状加工時に各辺の持つ形状特性を計算する機能を実装しています.

まずは計算機能を以下に先に示します.
計算機能の下部に,加工面数の決定条件と,多角形形状加工時に各辺の持つ形状特性の計算方法について記述します.

入力

説明値

自然数は1以上の整数.
処理量の上限は,計算点数×刃数が2000万,加工面数が1万です.
描画では点を間引いて表示し,数値計算には指定した点数を使用します.

計算結果

説明値

切削速度指標は実際の切削速度(m/min)ではありません.
1辺の長さは1辺の平均直径から算出した参考値であり,曲線の弧長ではありません.

工作物から見た刃先の運動軌跡と多角形形状,近似円

多角形加工面の拡大表示


以下,いくつかの主要な数値の計算方法について示します.

ポリゴン加工においては切削速度の絶対値は切削現象には関係しますが,多角形形状とは関係がなく,切削工具と工作物の回転数の比が,多角形形状を決めます.
そのため,「切削工具側切削速度指標」と「工作物側切削速度指標」というような表現にしてあります.
回転数の比と,各直径との積を計算しているだけなので,物理的な単位は特に想定していません.
参考程度に,どちらが早いのかを把握するためだけに使っています.
とはいえ,加工点においては工具と工作物は互いに逆方向の相対速度を持つため,どちらかが早くなることによって負の切削速度になることはないと思います.
ただし,食いつきや離脱部においては両者の速度ベクトルがずれるため,逃げ面の干渉など切削加工上の不具合が生じる可能性があります.
本解析では,その速度ベクトルのずれによる,実際の切削速度ベクトルを計算するところまでは解析していないので,実際に加工を行うときは注意してください.

多角形の面数の計算方法を以下に示します.
この面数は工具と工作物の回転数比と刃数で決まり,次式で得られます.
「gcd」というのは最大公約数の計算です.

\( N_{p} = \cfrac{\omega_{t} Z}{gcd(\omega_{w}, \omega_{t} Z)} \)

\( N_{p} \): 加工面数
\( \omega_{w} \): 工作物の回転数比(自然数)
\( \omega_{t} \): 工具の回転数比(自然数)
\( Z \): 刃数(自然数)

加工面の計算式は,参考文献2の式11にも記載がありますが,これは切削工具/工作物の回転数比が0.5の倍数である条件下でしか機能しない不完全な数式になっています.
なんらかの文献には加工面数の計算方法が記載されているのだとは思うのですが,文献2は2022年の文献であり,それにも載っていなかったので,上式はひとまず私が作った数式です.
上式で計算した場合,私が確認した範囲では多角形形状の加工面数は計算できていました.

加工面数を\( N_{p} \)としたとき\( N_{p} \)回対称の多角形形状になることから,加工面の1辺を形成する刃先軌道を抽出することができます.
数値計算により刃先軌道を点群で計算していた場合は,加工面の1辺を形成する刃先軌道を示す点群の座標から近似円を作成することができます.
この近似円の直径が大きいほど,1辺は平面に近いということになります.
ただし,この近似円の中心点が工作物中心から見て,近似円作成の対象としている辺と同じ方向にあるか,逆方向にあるか,という条件分岐が生じます.
この条件分岐により,1辺の形状が,1辺の中央が凸形状か凹形状になるかが決まります.
計算結果のグラフ上には近似円を赤点線で表示してあるので,その円の描画位置などから凸形状か凹形状かを判断してください.

この1辺の形状の大きさは,工作物中心から辺の中央部と,辺の端部への距離から簡易的に判断することができます.
よって,計算結果として,その2種の情報も出力しています.
1辺の長さは参考値として算出してあり,これは1辺を形成する点群の平均値として,平均直径\( D_{mean} \)を計算し,それを使って次式から計算しています.
厳密にどこかの長さを示しているというわけでもないので,物理的な意味はほとんどありません.

\( L = D_{mean} \sin(\cfrac{\pi}{N_{p}}) \)

抽出した1辺の点群は,本来はY軸に平行な平面を形成するのが理想ですが,曲面であるため,平面ではありません.
この点群のX座標の最大値と最小値の差が,真直度を示すことになり,それが間接的に,この多角形形状の1つの面の平面度を決めます.
その真直度も計算結果として示しています.
基本的には,工具の回転軌道直径を大きくしたり,加工面数を増やすと,真直度は良化します.

参考文献:
  1. ポリゴンターニングにおける工具軌跡と加工面の曲率
  2. Essam Soliman, Simulation of the polygonal turning process, Journal of Manufacturing Processes, 80 (2022),pp.852-859.
  3. Whirling 機構によるポリゴン切削

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