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最終更新日:2022年05月18日

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金属工作機械と機械工具,工作機器の国内生産金額の比較

金属工作機械と機械工具,工作機器の3つが切削加工設備の要素としてあるわけですが,その市場規模がどのくらい違うのかわかりません.
一体,どのくらいの市場規模の差があるのでしょうか.

まず,経済産業省生産動態統計を調査します.
経済産業省生産動態統計においては,工作機械は「金属工作機械」,切削工具は「機械工具」という表現になっています.
それぞれに含まれている製品群は以下のとおりです.


工作機器については,経済産業省生産動態統計には無いようなので,工作機器工業会が公開している工作機器生産動態集計表を使います.
工作機器に含まれる製品群は以下のとおりです.

上記統計からの数値を用いて,国内生産金額の比較グラフを作ってみます.
なお,経済産業省生産動態統計においては,「生産金額」の定義は「生産金額は契約価格又は生産者販売価格により評価したものをいいます。ここでいう契約価格又は生産者販売価格とは、企業の販売価格から積込み料、運賃、保険料、その他の諸掛りを除き、消費税を含めたものです」となっています.

domestic_yield
2020年の結果としては,金属工作機械が7240億円/年,機械工具が3217億円/年,工作機器が1340億円/年となっています.
全体的な傾向としても,金属工作機械の生産金額が一番高く,機械工具の約3倍,工作機器の約6倍であることがわかります.
2009年の落ち込みはリーマンショック,2020年の落ち込みはCOVID-19によるものと考えます.
次に,国内生産数量の比較をします.
下図は,縦軸を対数軸にしてあります.

domestic_productionquantity

色々な種類の製品を混ぜて数えているので,実際はたいして意味がない数字なのですが,生産数量としては,機械工具が最も多いです.
これは,機械工具が主に消耗品であることを考えると妥当な結果だと思います.
次に,国内生産金額を国内生産数量で割ることにより,単価を計算します.
この単価は,具体的な製品の単価ではないので,何を計算しているかといわれると意味は不明なのですが,その分類の平均単価として解釈できると考えます.
下図は,縦軸を対数軸にしてあります.

domestic_unitprice

金属工作機械の平均単価は約1370万円になりました.
若干安いような感じもしますが,桁としてはそんな感じかな,と思いました.
工作機器の平均単価は約3600円になりました.
機械工具の平均単価は約350円になりました.
これは,超硬チップの生産数量が多いことで,その単価に引っ張られた形ではないかと思います.



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