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最終更新日:2021年06月13日

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剛性と強度

剛性と強度の関係がいまいち理解できておらず結構長い間疑問に思っていました.
よくある答えは,剛性と強度はそもそも違う話なので混同すること自体がおかしい,というものです.
剛性は変形に対しての抵抗の強さの指標,強度は壊れにくさの指標,というものです.

私が疑問に思っていたのは,そういうものではなく,剛性と強度が比例関係にあるのかどうかといったものでした.
片持ち梁で計算すると,剛性と強度は大体比例します.
比例というか,剛性が上がると,強度も上がります.
ですので,そういうもんなのかなぁと思っていたのですが,実際は関係ないという結論に達しました.

剛性というのは,荷重と変形の比率を示します.
固定点と荷重点があって構造が変形するわけですが,このとき変形量は固定点から荷重点までの全ての形状と材質の影響を受けます.
つまり,構造全体の影響で決まるのが剛性です.

これに対して,強度というのは,構造全体において最も応力が高くなる点での応力が破壊強度に対してどのくらいの値を持つかによって決まります.
つまり,構造全体の形状などには関係なく,局所的な応力分布の影響で決まるのが強度です.

よって,剛性が上がるようにしても,応力集中などが生じることで局所的に弱くなって,強度が低くなる,という状況もあり得ます.

参考文献に示している書籍には,いくつかの形状変更のパターンが掲載されていて,剛性が上がって強度が下がるものもあり,やっぱりそういうものなのかなと思いました.

参考文献:松岡由幸,図解 形状設計ノウハウハンドブック -デザイン科学が読み解く熟練設計者の知恵と工夫-,日刊工業新聞社,2010年.



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