切削加工業界の不思議
切削加工の業界について不思議に思っていることがあります.
それは,肝心なところが定量的ではないところです.
切削現象自体もよくわからないのに,切削加工を行うための道具一式についてもカタログではよくわからないことが多すぎると思います.
こういった状況も切削加工を定量的に理解して進めようとすることを阻害しているのではないでしょうか.
具体的に何についてそう思っているのかについて以下に示します.
- 工作機械
動力や位置決め精度については仕様に記載があります.
しかしながら,剛性や周波数応答がわからないです.
主軸の位置によって剛性や周波数応答が変わってしまうので,記載が難しいのだろうとは思いますが,記載が一切ないのは問題だと思います.
主軸サイズによって剛性や動力が違うということもよく言われていますが,具体的な数値がわかりません.
結局,自分で測るわけですが,仕様に記載があったほうが,装置同士の比較もしやすいので便利だと思います.
- ツールホルダ
テーパの種類による具体的な違いがよくわからないです.
剛性や繰り返し精度,把持力に差があるのだと思うのですが,具体的な数値がわかりません.
- 切削工具
カタログに記載されている刃先形状などの諸元の情報が少ないと思います.
真のすくい角や,刃先丸みについての情報がないので,結局,自分で測らないとわからないのがめんどくさいです.
コーティングも色々書いてあるのですが,その材質が具体的にどう影響するのかがわからないです.
- 切削油剤
被削材と加工形態ごとに推奨の切削油剤があるのですが,性能がよくわからないです.
冷却能力や潤滑能力に差があるはずなのですが,それらが数値で示されていないので,結局よくわからないです.
使ってみようにも,買わないと試せないことが多いので,そういう部分は時間と費用の無駄ではないかと思います.
最終的には切削加工をやってみないとわからない点は理解していますが,それにしたってもう少し定量的に書いてあってもいいのではないでしょうか.
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