表面性状のパラメータの種類
加工面を評価するときには,表面性状のパラメータを使うことになります.
大体,RaかRzで指定されている場合が多いですし,図面での粗さ記号もRaやRzとの対比で示されています.
ただし,表面性状をそのものを,RaやRzだけで完全に表現できているわけではないです.
RaやRzが同じでも,形状が異なるパターンはあります.
つまり,形状の評価目的によっては,RaやRzが適切ではない場合もあります.
「JIS B 0601:2013 製品の幾何特性仕様(GPS)-表面性状:輪郭曲線方式」では,表面性状の特徴表現のための異なるパラメータが定義されています.
評価目的によっては,これらのパラメータが使える場合があるので,これらの存在を認識しておくといいと思います.
あと,表面性状の評価だけでなく,他の測定結果の解析に同様の計算処理を転用できる点でも有用だと考えます.
ここでは,一覧表だけ示しておきます.
定義については「JIS検索」で「JIS B 0601」を参照してください.
種類 | 略号 | 名称 |
---|---|---|
山及び谷の高さパラメータ | \( P_{p} \),\( R_{p} \),\( W_{p} \) | 最大山高さ |
\( P_{v} \),\( R_{v} \),\( W_{v} \) | 最大谷深さ | |
\( P_{p} \),\( R_{p} \),\( W_{p} \) | 最大高さ | |
\( P_{c} \),\( R_{c} \),\( W_{c} \) | 平均高さ | |
\( P_{t} \),\( R_{t} \),\( W_{t} \) | 最大断面高さ | |
高さ方向のパラメータ | \( P_{a} \),\( R_{a} \),\( W_{a} \) | 算術平均高さ |
\( P_{q} \),\( R_{q} \),\( W_{q} \) | 二乗平均平方根高さ | |
\( P_{sk} \),\( R_{sk} \),\( W_{sk} \) | スキューネス | |
\( P_{ku} \),\( R_{ku} \),\( W_{ku} \) | クルトシス | |
横方向のパラメータ | \( PS_{m} \),\( RS_{m} \),\( WS_{m} \) | 平均長さ |
\( PP_{c} \),\( RP_{c} \),\( WP_{c} \) | ピークカウント数 | |
複合パラメータ | \( P \Delta_{q} \),\( R \Delta_{q} \),\( W \Delta_{q} \) | 二乗平均平方根傾斜 |
負荷曲線及び 確率密度関数並びに それらに関連するパラメータ |
\( P_{mr}(C) \),\( R_{mr}(C) \),\( W_{mr}(C) \) | 負荷長さ率 |
負荷曲線 (アボットの負荷曲線) |
||
\( P \delta_{c} \),\( R\delta_{c} \),\( W\delta_{c} \) | 切断レベル差 | |
\( P_{mr} \),\( R_{mr} \),\( W_{mr} \) | 相当負荷長さ率 | |
確率密度関数 |
*「\( \Delta \)」や「\( \delta \)」は「\( d \)」で代用して表記することができます.
曲線に対して適用する「線粗さ」だけでなく,面に対して適用する「面粗さ」という考え方もあります.
参考文献: