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最終更新日:2024年04月05日

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工具経路によって制御すべき要素

工具経路(加工パス,工具パス)を作るときに,何を気にしているでしょうか.
私は工具経路も加工条件に含まれると思うのですが,工具経路を作るときに,そう考えられていないパターンがあるように感じています.
ここでは工具経路によって制御される要因について書きます.

  1. 加工距離
    加工距離が短いほうが,加工時間が短くなります.
    よって,工具と工作物が接触する区間を増やし,エアカットの区間を減らすことは重要です.
    加工距離は最低限気にされていますが,これだけ気にしてもしょうがないです.

  2. 切削抵抗の方向
    ダウンカットやアップカットといった切削方向だけでなく,工具を送る方向でも切削抵抗の方向は変化します.
    切削抵抗を治具で受け止めやすいような方向に向けてやると,工作物がずれる事故を防ぐことができます.

  3. 切削抵抗の変化
    工作物に工具が進入するときや,コーナ部に進入するとき,切削抵抗が急激に増大することがあります.
    この急激な増大は,刃先の欠損などを引き起こすので,工具経路に工夫が必要です.

  4. 工作物剛性
    工作物形状は工具経路に沿って加工中に絶えず変化し,それに伴って工作物の剛性も変化します.
    つまり,工具経路は工作物の剛性を制御していることになります.
    旋削加工であれば,工作物先端側から順番に加工し終えたほうが問題が生じにくい,というのはこれを指しています.

  5. 食いつき角,離脱角
    フライスカッタにおいては,工具と工作物の相対的な位置関係によって,食いつき角と離脱角が変化します.
    これは,刃先の欠損や,工作物のばり,こば欠けに影響します.

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