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最終更新日:2022年09月18日

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ボールエンドミルの工具姿勢

ボールエンドミルの底刃で切削を行おうとするおt,切削速度がゼロになるのと,逃げ面から工作物に食い込む影響があるので,傾けて使われることがあります.
その傾き,つまり,工具姿勢を決定するときに考えるべき事項について調べたいと思います.
まず,工具姿勢について整理します.
工具姿勢は,リード角とチルト角で定義できます.
その説明のために,工作物表面に対する垂線と,垂線に対して垂直かつ工作物表面に対して平行な送り速度ベクトルの2つを定義します.
垂線と送り速度ベクトルの2つで形成される平面内での角度,つまり,工具送り方向の傾斜角がリード角です.
上記平面に垂直かつ,工作物表面に垂直な平面内での角度,つまり,工具送り方向に垂直な傾斜角がチルト角です.

よって,リード角とチルト角の組み合わせを,どのように設定するかが重要です.

文献1によると,ボールエンドミルでもアップカットでの削りすぎと,ダウンカットでの削り残しが生じる点は,通常のスクエアエンドミルと同じとのことです.
例えば,チルト角を正と負のどちらに取るかで,アップカットとダウンカットが変わります.
よって,まずはこの点を考慮すべきです.

文献2では,リード角ゼロでは,チルト角20度の場合が良かったという事例があります.
文献3では,加工面上のカスプ高さが低くなるリード角とチルト角の組み合わせが載っています.
結局のところ,工具が違うと加工結果も違うので,上記結果がそのまま使えるとは思いませんが,考え方は参考になると思います.

「ボールエンドミル」を「工具姿勢」や「傾斜」と組み合わせて検索すると,こういった事例が出てくるので,目的に合ったものを探してみるといいと思います.

参考文献:

  1. 藤井 義也, 岩部 洋育,ボールエンドミルによる切削力曲線と加工精度との関係
  2. 岩部洋育, 清水啓輔, 佐々木三宣,三次元CADを活用したボールエンドミルによる切削機構の解析 傾斜面加工における切削面積と評価値による切削特性
  3. 吉川浩一, 水垣善夫, 郝明暉, 寺井久宣,球面のボールエンドミル加工における加工面創成機構の理論解析(第3報) 加工面形状の工具姿勢角依存性



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