切削加工の専門書と論文のリストとオススメ
最終更新日:2025年01月11日
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特殊な切削方法
通常実施される切削加工とは少し毛色の異なる切削加工が世の中にはいくつかあります.
そのうちのいくつかを以下に紹介します.
- プリグルーブ切削
連続切削では切りくずが長くなって,工具に絡みついたりして問題になることがある.
一般的には,チップブレーカを違うものに変えたり,加工条件を変えて,切りくず分断を狙う.
この加工方法では,事前に溝を工作物上に形成しておくことで連続切削を断続切削に変え,切りくず分断を狙う.
「事前」が「プリ」で,「溝」が「グルーブ」なので,そのままの名前.
- 不活性ガス雰囲気切削
刃先の摩耗には酸化による影響もある.
酸化は酸素がないと発生しない.
そこで,加工点周辺の雰囲気を不活性ガスに置き換えて,酸素を排除して切削を行うのが本加工方法.
不活性ガスとしては,窒素や二酸化炭素が使われ,場合によっては真空が使われることもある.
- 加熱切削
工作物の温度が上昇すると,材料が軟化するので,切削抵抗を下げることができる.
加工点の温度を上昇させるための方法として,通電加熱法や局部電気抵抗加熱法などがある.
- レーザ援用切削
加熱切削の一種.
加工点の温度が上昇すると,刃先温度も余計に上がってしまい,熱拡散による摩耗を招く.
そこで,加工点の少し先にレーザを当てて,工作物温度を上昇させ,温度が上がったところを切削する.
類似した手法に,プラズマ加熱切削というのもある.
- 低温切削
加工点の温度が上昇すると,熱拡散による摩耗などを引き起こす場合がある.
温度が高いと熱拡散が進むので,その熱を奪い去るのが切削油剤による通常の冷却です.
この加工方法では,工作物材料の温度をさらに下げて,工作物に低温脆性を発生させ,切削抵抗の低下と面粗さの向上を狙う.
この冷却に液体窒素などの不活性ガスを使うと,不活性ガス雰囲気切削と併用することができる.
- 冷風切削
低温切削と同じ分類の加工法.
マイナス数十度程度の冷風を当てながら切削を行う.
一応,液体を使っているわけではないので,ドライ加工として切削ができる.
ドライかつ低温の切削という分類でいえば,ペルチェ効果を利用する電子冷却切削というのもある.
- 通電切削
熱化学的摩耗が生じる場合に,通電によって加工点に電子を供給することで,工具材質の原子結合が弱くなるのを防ぎ,工具摩耗を低減させる.
そのため,通電加熱切削とは狙いが異なっている.
- 振動切削
工作機械の駆動軸や圧電素子などの駆動源を使って,加工点を細かく動かしながら切削を行う.
完全に工作物から離してしまえば切りくず分断ができる.
振動によって,摩擦の状況が変化し,切削抵抗が下がったりもする.
駆動源の周波数帯によっては,超音波振動切削とも言われる.
- 反転切削
工作物の同一個所を2回加工するときに,1回目と2回目で刃先の擦過方向を逆にする加工方法.
例えば,貫通穴をドリルで加工したあとに,逆方向からリーマを通すと反転切削になる.
加工変質層が浅くなるために,面粗さが向上したりする.
- ポリゴン切削
旋削加工において,工作物と旋削工具をどちらも回転させ,その回転数比を調整することで,多面体を加工する方法.
転削加工で多面体を形成する場合は割り出しが必要だが,この方法だと多面体を一気に加工することができる.
似たような概念の加工方法として,Whirling(ワーリング)切削というものがある.
- オービット加工,インターポレーションターニング,補間旋削
フライス主軸に旋削工具を持たせた状態で,主軸の送り運動である円弧補間運動と,工具の位相を同期させて加工することで,NCフライスで旋削加工を行う加工法.
例えば,主軸の送り運動である円弧補間運動が月の公転運動だとして,工具の位相が月の自転に相当すると考えたとき,月が常に同じ面を地球に向けているのと同じように,旋削工具の切れ刃を工作物に向け続けるような制御を行う.
旋削加工において必要となる回転中心の位置を任意に選択できるという利点があるが,たぶん,切削速度はあまり高くできない.
- ミルターニング
複合加工機において,工作物を回転させつつ,転削工具で切削を行う方法.
- 超高速切削
被削材中に生じる塑性波よりも早い切削速度で加工を行う方法.
回転数を上げれば達成できる,という程度の切削速度ではないため,ガスや火薬で切れ刃を加速させる特殊な装置が必要.
- バランスカット
複数の切削工具を同時に工作物に接触させ,各切削工具で生じる切削抵抗同士のバランスをとることで,加工を安定させる方法.
- 背分力抑制切削(背分力フリー切削)
旋削加工でコーナ半径やアプローチ角を調整することで,背分力をゼロにする.
工作物変位に大きく影響する背分力がゼロになることで,加工誤差を小さくすることができる.
本来は,旋削工具の形状を工夫するものだが,複合旋盤だと工具形状を工夫しなくても達成できる可能性があるので,ここに分類した.
参考文献:旋削加工による微細軸の創成に関する研究
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