振動(変位・速度・加速度)の測定方法一覧
測定対象の振動を測定する場合,変位・速度・加速度のいずれかを測定することになります.
どれを,どのセンサで測定するかによって,測定範囲や周波数応答,サンプリング周波数が変化します.
ここでは,各測定方法をざっくりとまとめます.
- 接触式変位センサ
ダイヤルゲージ:接触,アナログ
差動トランス方式(電気マイクロメータ):接触,デジタル
空気マイクロメータ:一応は非接触だが空気流が接触する,デジタル
- レーザ変位センサ
共焦点方式:同軸共焦点方式では,反射光の焦点が特定の位置に来た時に受光するような構造にしてあり,レンズを移動させ,その移動量と受光の有無から,測定対象物との距離を測定する.
白色同軸共焦点方式では,レンズは動かず,光の波長によって焦点位置が変わるので,受講している光の波長から,測定対象との距離を測定する.
三角測量方式:レーザの照射部と受光部の位置関係によって正反射方式と拡散反射方式に分けることができる.
測定対象の表面状態の影響を受け,例えば,鏡面では拡散反射が生じないので,拡散反射方式では距離が測定できない場合がある.
どの測定方式も,水や切削油剤がある環境下では使用できない.
- 渦電流式変位センサ
コイルに交流(交番電流)を流した状態で,測定対象に近づけたとき,測定対象には電磁誘導によって渦電流が生じる.
この渦電流によって,測定対象に交番磁場が発生すると,コイルのインダクタンスが減少し,電流が増加する.
このインダクタンスの変化を用いて,測定対象との距離を測定する.
そのため,測定対象が金属のような導体であり,渦電流を発生させられる場合に使用できる.
測定対象の材質や,測定表面の曲率によって,距離とインダクタンスの関係が変化するので,これらの場合には校正が必要になる.
水や切削油剤がある環境下でも使用できる.
- 静電容量式変位センサ
センサと測定対象を一定距離まで近づけて,両者の隙間においてコンデンサを形成させる.
そのコンデンサの静電容量と距離の関係から,測定対象との距離を測定する.
どちらかというと測定分解能は非常に小さいので,微小な変位の測定に向く.
水や切削油剤がある環境下では使用できない.
- レーザドップラ振動計
測定対象にレーザを照射したとき,測定対象が振動していると,反射光の周波数がドップラ―効果により変化します.
この周波数のシフト量は,レーザの波長と,測定対象の振動速度によって定まり,レーザの波長は既知です.
よって,反射光でのシフト量から,測定対象の振動速度が測定できます.
水や切削油剤がある環境下では使用できない.
- 加速度センサ
ニュートンの第二法則F=Maを用い,加速度によって生じる慣性力から加速度を測定する.
ひずみゲージ方式と,圧電素子方式,サーボ方式,半導体方式がある.
また,加速度センサには静的加速度が測れるものと測れないものがあります.
例えば,ひずみゲージ方式は静的加速度が測れますが,圧電素子方式は測れないはずです.
静的加速度には重力加速度が含まれるので,重力加速度から姿勢を判断したい場合は,静的加速度が測定できる方式を選択する必要があります.