エンドミルによる切削加工が安定する軸方向切込み深さ
エンドミルを用いて切削加工を行うときに,加工が安定する軸方向切込み深さというものがあります.
様々な文献に記載がありますが,例えば以下の文献があります.
実際の効果としては,加工精度の向上や工具寿命の延長が見込まれます.
具体的には次式で計算することができます.
\( a_{p} = \cfrac{N D_{c} \pi }{ Z \tan{ \theta_{h} }} \)
\( a_{p} \): 軸方向切込み深さ
\( N \): 自然数
\( D_{c} \): 工具径
\( Z \): 刃数
\( \theta_{h} \): ねじれ角
加工工程としての\( a_{p} \)が既に決まっている場合は,上式を満たすことができるエンドミルの諸元を選定すれば良いです.
刃数は2枚,3枚および4枚で,ねじれ角は30度,40度および50度,自然数はせいぜい1か2くらいしかとれないはずなので,その条件範囲内で適用可能な工具径を選定すれば良いです.
数式を見ればわかりますが,この原理の良いところは,半径方向切込み深さには依存しない点です.
ねじれ角が小さい刃先交換式フライスカッタでは\( \tan{ \theta_{h} } \)が小さく,それにより\( a_{p} \)が大きくなるので,この原理は使いにくいです.
そのため,本ページではエンドミルに限定した書き方をしています.