切削加工の専門書と論文のリストとオススメ
最終更新日:2020年09月20日

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ひずみゲージ関連の
書籍のオススメ

ひずみゲージには以下のような特徴があるために,他の測定機と比べて,敷居が高いのではないかと思います.

・測定対象そのものに貼り付ける必要があり,それが多少の慣れを必要とすること.
・ブリッジボックスを使って,複数のひずみゲージを組み合わせることで,温度補償などの2次的な効果を得られること.
・「ひずみ」を測定しているために,荷重によるひずみと温度によるひずみを同時に測定してしまうこと.

そのため,ある程度の勉強をしておかないと,何を測っているのかわからなくなると思います.
そのわりに,ひずみゲージのことを詳細に説明している書籍は少ないです.
いろんなセンサを紹介しているようなタイプの本でも.測定原理を多少は説明していますが,あれでは具体的な使い方はわからないと思います.

まずは,「ひずみゲージによるひずみ測定入門 歴史から測定まで」で,全般的に勉強するのがいいと思います.
これを読めば,測定原理,貼り方,複数のひずみゲージの組み合わせ方などを一通り勉強することができます.
読むだけだとよくわからない,というのであれば,ひずみゲージメーカの共和電業で講習会をやっているので,それに参加するのもいいと思います.
私も10年くらい前に参加したことがありますが,一通りの内容を講習会で説明してくれますし,ひずみ測定の実習もあるので,一度も使ったことがない人にはいいと思います.

実際に使ったときにどういった部分に気を付けたらいいのか,ということに関しては,「研削加工の計測技術 最新の計測技術とそのノウハウ」を読むと,研削加工の測定にひずみゲージを使ったときの具体的な作業手順やノウハウが記載されているので,多少は参考にできる部分があると思います.
こういった具体的なノウハウを書いている書籍を見たことがないので,測定目的が違っていたとしても,目を通してみる価値はあるのではないかと思います.

ひずみゲージを単体で使うだけでなく,荷重変換器として使う場合は,「人と物の動きの計測技術 ひずみゲージとその応用」が参考になると思います.
荷重変換器は,測定を行いたい対象の形状や荷重によって様々な形態をとるためか,それに関して詳細な記述をしている書籍はありません.
ですので,少しでも記載されている書籍などから情報を集めるしかないと思います.
荷重変換器には,コラム型,ロバーバル型,シャー型,リング型,ダイヤフラム型などの基本形状があるのですが,それらの詳細を書いている書籍も見たことはありません.
荷重変換器は,ロードセルや起歪体(読み:きわいたい)と呼ばれることもあります.
ひずみゲージメーカのWEBサイトに,いろいろな情報が記載されているので,それを参考にするのも非常に役に立ちます.

書籍を見ていてよくわからなかったのは,シアノアクリレート系接着剤を使用してひずみゲージを貼り付けるときに,必ずポリエチレンシートを使って指で押し付けて接着を行う理由です.
どういう目的でポリエチレンシートを使う必要があるのか全く書いてないのですが,実際にやってみたらわかりました.
シアノアクリレート系接着剤はポリエチレンシートを接着できないので,それを間に挟むことで,シートや指が測定対象に接着されることを防ぐことができるのです.

あと,ひずみゲージの接着には専用の接着剤が販売されており,それは成分調整がされていてひずみゲージの取付に最適化されています.
ただ,とりあえず貼り付けてみて出力を見てみる分には,同じシアノアクリレート系接着剤である,コンビニでも売っているような市販の瞬間接着剤を使ってもいいと思います.
パッケージの成分表示を見ると,ほぼシアノアクリレートでしか構成されていないことがわかると思います.

シアノアクリレート系接着剤は,専用のはがし液も販売されていますが,お湯で煮てやると緩んでくるので,それでひずみゲージを外すことも可能です.
まぁ,煮ることができるくらいの小型の部品で,かつ,錆びないように気を付けないといけないので,それができるものは限られるとは思います.

シアノアクリレート系接着剤は冷蔵庫で保存するのがいいとされていますが,あれは本当だと思います.
室温が40℃近くあるような部屋にシアノアクリレート系接着剤を持ち込むと,容器が明らかに熱くなることがあります.
あれは,温度で化学反応が進んでいるのだと思います.
多分,室温でも多少は反応が進んでいるのだと思うので,その進行を遅らせて,使用可能な保管期間を延ばすには,冷蔵庫に入れておくのがいいのだと思います.



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