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最終更新日:2026年07月01日

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旋削加工におけるびびり振動の回避方法に関する考察

びびり振動にも種類がたくさんあるので,その全てを考慮した話をするのは非常に難しく,そこまでの能力はないので,ここでは再生びびりと強制びびりの初歩的な話に限定します.

切削加工中に発生する振動を抑制するには,原因となる振動の種類を突き止めて,その対策を施すことが重要です.
ただし,対策を施した結果,別な振動が発生してしまう場合があるので,できるだけ大局的に対策を考える必要があります.
そこで,ここで,再生びびりと強制びびりへの対策を同時に検討してみます.

強制びびりというのは,振動源の周波数応答の固有振動数と,主軸回転による周波数かその倍振動が一致して共振が生じることが原因です.
そのため,主軸回転による周波数か,その整数倍の周波数で,びびり振動が生じます.
どの周波数で,どのくらい振動が大きくなるか,というのは周波数応答のゲインの図をみれば把握できます.

再生びびりというのは,工作物1回転分の遅れと,切り取り厚さの変動の関係で,ポジティブフィードバックがかかることによって振動が増幅します.
仕組みについては「旋削加工での再生びびりにおける安定限界線図の作成方法」や「旋削加工での再生びびりにおける安定限界線図のグラフ作成(計算機能あり)」にも記載しています.
どの周波数で,びびり振動が生じるか,というのは安定限界線図とその一式の図をみれば把握できます.

そこで,強制びびりを把握する図と再生びびりを把握する図をまとめて作図してみたものが下図になります.

gain-stability-lobe
図 振動源のコンプライアンス伝達関数のゲインと,安定限界線図
*比切削抵抗Kf = 300[MPa],質量M=10[kg],剛性K=5x106[N/m],減衰C=200[N/(m/s)]にて計算

上段の強制びびりを把握するための周波数応答のゲインの図と,中段の再生びびりを把握するための安定限界線図を見比べます.
周波数応答のゲインの図は値が大きくなる位置が振動が大きくなる条件であり,安定限界線図は値が大きいほうが大きく切り込めるので安定しているという条件を示すため,混乱しやすいですが,解釈は下記のとおりです.
強制びびりは固有振動数の112Hz近辺で発生しやすいです.
再生びびりは固有振動数の112Hzで安定しています.
つまり,再生びびりが最も安定する条件では強制びびりが発生しやすいです.
ということは再生びびりだけを考えていると,問題となる振動が強制びびりに切り替わっている場合が十分考えられる,ということです.

よって,最善策は「固有振動数の112Hzから下げて,ゲインが十分下がる主軸回転数」が良いということになります.

次に,びびり振動の判別方法について検討します.
強制びびりは冒頭に書いたとおり,主軸回転による周波数か,その整数倍の周波数で振動します.
ただし,切削に関係する場合と,切削に関係しない場合があります.
切削に関係しない場合というのは,工作機械そのものに原因がある場合です.
切削に関係する場合と,切削に関係しない場合の判別は,オフセットを与えることで切削時と同じ動きでエアカットをさせれば判断できます.

その一方,再生びびりは,主軸回転による周波数と,びびり振動の周波数にずれが生じます.
それを説明するのが下図です.
横軸の主軸回転数を,主軸回転による周波数に変換してあります.
黒点線は,主軸回転による周波数の整数倍にあたります.
こう見ると,主軸回転による周波数と,びびり振動の周波数が整数倍になるのは,主軸回転による周波数が固有振動数を自然数で割った値に一致するときだけであることがわかります.
よって,主軸回転による周波数と,びびり振動の周波数が整数倍の関係に無い場合は再生びびりであると判断できることになります.

frequency-regenerative-chatter
図 主軸回転数による周波数と,再生びびりの周波数の関係

参考文献


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