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最終更新日:2022年12月04日

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変位と荷重による荷重制御

切削加工とは関係ない話から入るのですが,荷重を加えるときの荷重の制御方法について考えます.
ここに記載しているのは個人的な考えなので,理屈もくそもないです.

ここでは,2つの物体が接触して,その接触によって荷重を生じさせることを考えます.

\( F = K \cdot X \)
\( F \): 荷重
\( K \): 剛性
\( X \): 変位

接触させるために,まずは変位が必要です.
変位によって互いが干渉し始めると,互いの剛性によって弾塑性変形が生じ,その反力として荷重が生じます.

つまり,荷重を出力とすると,
入力:変位→剛性→出力:荷重
という形をとります.

このときに荷重を制御することを考えます.
簡単には2つの方式があり,荷重による制御と,変位による制御があります.

人間が自分の腕で荷重を加えるときは,荷重による制御になります.
これは,自分の腕の変位量は管理できないですが,触覚や痛覚によって荷重が把握できるためです.
荷重制御を目的とする場合,これはフルクローズドループ制御に相当します.

変位によって荷重制御を行う例としては,切削加工が挙げられます.
切込み深さを設定して,除去加工を行うことによって,切削抵抗(切削力)として荷重が生じます.
比切削抵抗を考慮すれば,切削抵抗の予測はある程度できます.
しかしながら,結局,荷重を見ていないので,オープンループ制御に相当します.
オープンループ制御の問題は,制御が正確にできない点につきます.

切削加工では,切込み深さを設定して除去加工を実施した場合,発生した荷重によって切込み深さが減少します.
つまり,入力値によって入力値が影響を受ける,というシステムになっています.
これが,工作物や工具の剛性によって影響を受ける加工誤差の原因です.
そこらへんの詳細は,切削抵抗と,工具と工作物の剛性に記載しています.

重要なのは,切削加工は上記したような「入力値が入力値として機能しない」特殊なシステムであるということを認識しておくことです.

例え,荷重を一定にすることができたとしても,場所によって剛性が変わっていれば変位も変わるので,加工誤差も変わっています.
よって,荷重制御に着目して説明したので,設定値としての切込み量の変位制御に意味がないことを書きましたが,必要なのは加工結果として残る変位の制御です.



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