ツールホルダの剛性比較
主軸の大きさで剛性が違う,という話はよく聞きます.
ツールホルダの長さや太さで剛性が変わることもよくわかります.
それでは,インターフェースが違っていて,それ以外が同じ場合,ツールホルダの剛性に違いはあるのでしょうか.
ここでは,それを検証します.
検証には「多段段付き片持ち梁の剛性」に示した数式を用います.
ツールホルダの形状を2段段付き片持ち梁に近似して,自由端側先端部でのコンプライアンスを計算します.
サイトの題目には剛性と書きましたが,剛性の逆数であるコンプライアンスで比較します.
BT30,BT40,BT50のインターフェース違いでの比較を行います.
これら3つのインターフェースでは,ツールホルダのフランジ部の直径が異なります.
具体的な形状がないと比較できないので,ツールホルダメーカのカタログを参考に下表のように決定しました.
表 インターフェースごとのフランジ部の寸法(固定端側)
規格 | 直径 mm | 長さ mm |
---|---|---|
BT30 | 40 | 15.9 |
BT40 | 63 | 15.9 |
BT50 | 100 | 15.9 |
表 ツールホルダの工具把持側の寸法(自由端側)
把持可能な工具直径 mm | 自由端側外径 mm | ツールホルダ全長 |
---|---|---|
6 | 20 | 45 - 135 |
13 | 35 | 60 - 165 |
20 | 46 | 90 - 200 |
上表に示したインターフェースと自由端側寸法の組み合わせで計算を実施します.
ツールホルダ全長に,フランジ長さが含まれるものとしています.
ツールホルダ中心には切削油の内部給油用の穴が開いているものとし,その直径は把持可能な工具直径に等しいとしています.
下記計算結果には,主軸の剛性や工具剛性が含まれていないので,実加工のコンプライアンスとは異なる点に注意してください.

図 把持可能な工具直径6mmでのコンプライアンス比較

図 把持可能な工具直径13mmでのコンプライアンス比較

図 把持可能な工具直径20mmでのコンプライアンス比較
インターフェースによる差異はほとんどないと考えられます.
把持可能な工具直径20mmだと,インターフェースによる差異があるように見えます.
しかしながら,コンプライアンスの絶対値そのものが小さいので,実際にはほとんど差はないと考えられます.
ついでに,以下に,各インターフェースごとで把持可能な工具直径を変えたときの比較を示します.

図 BT30でのコンプライアンス比較

図 BT40でのコンプライアンス比較

図 BT50でのコンプライアンス比較
インターフェースによる差異がほとんどないことは既にわかっているので,グラフ間では差はほぼないです.
把持可能な工具直径が6mmから13mmになると,コンプライアンスが約10分の1になっていることがわかります.
これは自由端側外径が20mmから35mmになることで,断面二次モーメントが(35/20)^4で9.38倍となることが主要因と考えられます.