切削加工での表面粗さ測定について
表面粗さは面粗さや面粗,面粗度,表面性状とか呼ばれていて,加工面の評価に用いられます.
触針式表面粗さ測定機などで測定するわけですが,測定のルールなどをちゃんと理解している人はどのくらいいるのでしょうか.
詳しいことは「表面粗さ —その測定方法と規格に関して—」に書いてあるので,読んでみると結構勉強になると思います.
表面粗さ測定の一般的なことは上記文献を読めばわかるので,ここでは表面粗さ測定について思ったことなどをまとめたいと思います.
- 表面粗さは特定の波長帯域の情報を持っているだけ.加工面の実際の詳細情報を持っているのは測定断面曲線
表面粗さの測定を行うと,測定機の画面上に曲線が表示されるわけですが,あれはいくつかのフィルタを通した後の形状であり,実際の加工面形状そのものではないです.
実際の加工面形状そのものを示すのは測定断面曲線で,そこから断面曲線とうねり曲線,粗さ曲線の3つのデータが作られています.
ですので,用途によってどのデータを観察するかは考えたほうがいいです.
- 測定断面曲線もなんらかのフィルタを通っている
測定断面曲線だと加工面形状そのものが見れる,みたいなことを書きましたが,これも何らかのフィルタは通っています.
触針式であれば針の先端のRが一種のフィルタとして作用しています.
レーザ方式であれば,レーザのスポット径が一種のフィルタとして作用します.
こういうことはどのセンサでもいえることとは思いますが,念頭に置いておいたほうがいいです.
- 基準長さと評価長さ
面粗さの計算は基準長さごとに実施され,それが評価長さ全体にわたって繰り返され,その平均値が測定結果として表示されます.
大体,基準長さの5倍を評価長さとします.
基準長さとしては,0.08mm,0.25mm,0.8mm,2.5mm,8mmがあります.
この基準長さと評価長さとしてどういう値を用いるか,というルールは測定結果であるRaやRzと紐づけてJIS B 0633にて定められています.
測定結果を基準として測定条件を決める必要があるわけです.
これは一見おかしな話なのですが,これに従おうとすると「仮に測定条件を決めて測定を行い,測定条件と測定結果が条件を満たさなければ,測定条件を変更して再測定を行う」ということになります.
よって,測定を繰り返すことを前提としているため,そういうルールになっていることを知っておいたほうがいいと考えます.
- 基準長さと評価長さ,送り量
基準長さとしてよく使われているのは0.8mmか2.5mmだと思います.
この距離ごとに面粗さが計算されるわけですが,これらの値は場合によってはフライス加工における1回転当たりの送り量よりも小さい場合があります.
そうなると,測定位置による面粗さの変化が大きくなってしまう可能性があります.
特に高送り加工や,刃数が多い工具を使用する場合は,この影響に注意する必要があります.
- 表面性状パラメータはしょせんは数字であって表面粗さの形状そのものを示すわけではない
RaやRzは表面粗さを定量的な数値として表現するために作られていますが,表面粗さそのものを数字で指定するのは非常に困難です.
例えば,Rzが同じ,つまり,最大値と最小値の差が同じ値でも違う形状というのはいくらでも思いつくと思います.
また,あるRaを示す形状があったとして,その形状を上下逆さまにしてもRaの数値は変わりません.
複数の表面性状パラメータを組み合わせることで,形状の許容幅を狭くすることは可能ではないかと思います.
ただ,それでも表面性状パラメータで形状を指定するのは難しい,ということは頭に入れておいたほうがいいと思います.
- 加工面の見た目と表面性状パラメータ
加工面の見た目と面粗さの測定結果の相関がわからないことはよくあると思いますが,それに関係する文献としては以下のようなものがあります.
面白いので読んでみるといいと思います.
加工面品位の評価方法および表面粗さとの関係(第1報)
加工面品位の評価方法および表面粗さとの関係(第2報)加工面における輝度と表面粗さとの対応関係
加工面品位の評価方法および表面粗さとの関係(第3報)輝度差と表面粗さによる加工面品位の評価
加工面品位の評価方法および表面粗さとの関係(第4報)輝度差画像による加工面品位の評価
人の視覚特性に基づく仕上げ加工面評価方法 視覚解像度と法線方向変化率視認限界
人の視覚特性に基づく仕上げ加工面評価方法 法線方向変化率視認限界に及ぼす表面粗さの影響
- 関連計算機能
旋削加工での表面粗さRaとRzの理論計算式(計算機能あり)
旋削加工での表面粗さのグラフ作成(計算機能あり)